医療費が高額になったとき
高額医療費も自己負担額は2万円まで
公的医療保険には「法定給付」という制度があります。たとえば、急性心筋梗塞で6日間入院して130万円の医療費がかかっても、法廷給付により、90,430円の負担で済みます。(標準報酬月額28万円~50万円の場合)
この法定給付に加えて、農団健保には独自の「付加給付」という制度があり、付加金が70,400円プラスされるため、自己負担額は20,030円で済みます。
その他、出産時や死亡時にも、「法定給付」に加えて農団健保独自の「付加給付」を受けることができ、協会けんぽよりも有利となっています。
もし急性心筋梗塞で6日間入院して130万円の医療費がかかったら(標準報酬月額28万円~50万円の場合)
高額療養費について
自己負担する医療費が高額になって家計を圧迫することのないよう、一定額以上の医療費は保険で負担する、という目的で設けられたのが高額療養費制度です。
ポイント1:1か月の医療費の支払いが一定の限度額を超えた場合
医療機関で1か月の窓口負担が一定の限度額を超えると、超えた分が高額療養費として健保組合から支給されます。
ただし、70歳未満の人と70歳以上の人では次のように限度額が異なります。
70歳未満の人の場合
窓口負担が自己負担限度額を超えたとき、超えた分が高額療養費としてあとから払い戻されます。ただし、「限度額適用認定証」を提示することで、医療機関への支払いが自己負担限度額までとなります。
- <申請方法>
-
病院から請求(レセプト)が届いた時点で計算をし、対象となる方には健保組合に加入した際に登録してある口座へ自動的に支給を行います。
「限度額適用認定証」をご利用ください
入院や外来診療等で高額な医療費がかかるときは、「限度額適用認定証」をご利用ください。
医療機関等の窓口に「保険証」と「限度額適用認定証」をご提示いただくことで、医療機関等の窓口で支払う費用が自己負担限度額までとなり、窓口で支払う費用を抑えることができます。
- ※70歳から74歳の人について
原則、「限度額適用認定証」は不要です。ただし、[表2]の現役並み所得Iまたは現役並み所得IIに該当する場合は申請して下さい。
- <申請方法>
-
「健康保険限度額適用認定申請書」に必要事項を記入し、健保組合まで提出してください。後日、「限度額適用認定証」を交付します。
有効期限・・・申請した月の1日から翌年前月末まで
「限度額適用認定証」を提示しなくても、おおむね3か月後に自動で払い戻されます。
同一世帯で同じ月に21,000円以上の自己負担が複数あるときは、それらを世帯合算して自己負担限度額を超えた額が高額療養費として支給されます(世帯合算高額療養費)。
区分 | 所得要件 | 自己負担限度額 |
---|---|---|
ア | 標準報酬月額 83万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
イ | 標準報酬月額 53万~79万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
ウ | 標準報酬月額 28万~50万円 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
エ | 標準報酬月額 26万円以下 |
57,600円 |
オ | 低所得者 (市町村民税非課税) |
35,400円 |
70歳~74歳の人の場合
すでに後期高齢者医療制度の対象となっている人は該当しません。
外来は、個人ごとに計算し限度額(A)を超えた分が払い戻されます。入院は、限度額(B)までの支払いとなります。同じ世帯内で外来と入院がある場合は、外来と入院の負担を合算して限度分(C)を超えた分が払い戻されます。(70~74歳の間に後期高齢者医療制度に該当している人を除く)
区分 | 所得要件 | 自己負担限度額 | |
---|---|---|---|
A 外来(個人ごと) | B 入院、 C 外来+入院(世帯単位) |
||
現役並み 所得者III |
標準報酬月額 83万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | |
現役並み 所得者II |
標準報酬月額 53万円~79万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | |
現役並み 所得者I |
標準報酬月額 28万円~50万円 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | |
一般 | 標準報酬月額 26万円以下 |
18,000円 年間上限14.4万円 |
57,600円 |
低所得者 (市町村民税非課税) |
II | 8,000円 | 24,600円 |
I | 15,000円 |
- ※「現役並み所得者I」または「現役並み所得者II」の人は「限度額適用認定証」(健保組合に申請して交付を受けます)を提示することで、医療機関への支払いが自己負担限度額までとなります。
- 現役並み所得者
- 標準報酬月額28万円以上の人。
- ※上記に該当する人でも、年収が一定額未満(単身世帯の場合:383万円未満、2人以上世帯の場合520万円未満)の人は健保組合の担当窓口への申請により2割負担となります。
- *新たに現役並み所得者となる70歳以上の人は、同一世帯の後期高齢者医療制度に移行した人との年収の合計が520万円未満であれば、申請により自己負担割合が2割となります。
- ※低所得者については、「診察をうけるとき」をご参照ください。
- ※月の途中で75歳の誕生日に到達すると、誕生月において、移行前の健康保険と移行した後期高齢者医療制度が2分の1となります。
ポイント2:同じ世帯に70歳未満の人と70歳~74歳の人がいる場合
- 「70歳~74歳の人」の払い戻し額を計算します(表2をご覧ください)。
- 1.の払い戻し額を除いた負担額と「70歳未満の人」の負担額を合算して自己負担限度額(表1)を超えた分が世帯の払い戻し額となります。
- 1.と2.を合わせた額が世帯全体の払い戻し額となります。
ポイント3:同一世帯で高額療養費の支給を受けた月が年4回以上あった場合(多数該当)
同一世帯で複数の人が、高額療養費の支給を受けた月が1年に4回以上あった場合は、4回目からは下表の区分に応じた金額を超えた分があとから払い戻されます。
区分 | 所得要件 | 自己負担限度額 |
---|---|---|
ア | 標準報酬月額 83万円以上 |
140,100円 |
イ | 標準報酬月額 53万~79万円 |
93,000円 |
ウ | 標準報酬月額 28万~50万円 |
44,400円 |
エ | 標準報酬月額 26万円以下 |
44,400円 |
オ | 低所得者 (市町村民税非課税) |
24,600円 |
所得要件 | 自己負担限度額 |
---|---|
標準報酬月額 83万円以上 |
140,100円 |
標準報酬月額 53万~79万円 |
93,000円 |
標準報酬月額 28万~50万円 |
44,400円 |
標準報酬月額 26万円以下 |
44,400円 |
ポイント4:特定の病気で長期療養が必要な場合
血友病および人工透析が必要な慢性腎不全については、「特定疾病療養受療証」を病院の窓口へ提出すると1か月10,000円(人工透析が必要な標準報酬月額53万円以上の人は20,000円)以内の支払いで済みます。ポイント1、2のケースと違って、この場合はあとで払い戻すという方法はとりません。健保組合が直接病院へ支払うことによって患者の窓口の支払いが10,000円(人工透析が必要な標準報酬月額53万円以上の人は20,000円)以内で済むことになっています。受診の際は保険証のほかに「特定疾病療養受領証」が必要です。
- <申請書類>
高額療養費の対象となる自己負担額の計算基準
暦月ごとに計算
月初めから月末までの受診について1か月として計算します。
入院と外来
1つの病院、診療所でも、入院と外来は別に扱い、合算しません。
病院・診療所ごとに計算
2つの病院・診療所へ同時にかかっているような場合でも、両方へ支払った金額は合算しません。
歯科は別
病院、診療所に内科などの科と歯科がある場合、歯科は別の病院、診療所として扱います。
入院中の食事代
入院中患者が負担する食事代の一部負担金は、「自己負担額」には含まれません。
- ※70歳~74歳の人は、各診療科、病院・診療所、入院・外来、歯科を別々に計算せず、すべての支払いを合計した額が対象となります。